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「コーダーにWordPressは必要ですか?」
「HTML/CSSだけでは案件が取れないと言われた」
「勉強するとして、どこまでやればいいのか分からない」
結論から書きます。単価を上げたいなら必要です。ただし「WordPressができる」には段階があり、どこまでやるかで結果がまったく変わります。
私はWeb制作を本業とするフリーランスとして、企業サイトやネットショップの制作を、要件定義からリリースまで一人で担当してきました。そこで実際に使っているのは、ほぼWordPressかShopifyです。
この記事では、必要な理由と「どこまでやればいいか」の線引きを、実際の案件をもとに書きます。
結論:HTML/CSSだけだと単価が頭打ちになる
静的なコーディングだけの案件は、単価が伸びにくい構造があります。作業内容が明確で、代わりが見つけやすいからです。
一方、CMS構築までできると扱える案件の層が変わります。私がエージェントから提示された単価は月50万円台でしたが、これはHTML/CSSに加えてJavaScript、PHP、WordPressやShopifyでの構築まで対応できる前提での数字です。
マークアップのみだと、ここから下がります。これは私の主観ではなく、提示された案件の内容から実際にそうでした。
なぜWordPressなのか
制作案件の入り口が、そもそもWordPressになっている
企業サイトを新しく作るとき、多くの場合クライアントは「自分たちで更新したい」と言います。お知らせ、ブログ、実績紹介。更新が発生する時点で、静的HTMLでは要件を満たせません。
つまり「WordPressができない=そもそも案件の話に入れない」場面が出てきます。単価の問題以前に、土俵に乗れるかどうかの話です。
納品後に継続案件になりやすい
ここが見落とされがちな点です。
WordPressで作ったサイトは、公開後も保守・更新・機能追加が発生します。新規制作を追い続けるより、継続契約があるほうが収入は安定します。
この安定性は、フリーランスにとって単価以上に効きます。案件の空白期間が減るからです。
クライアントの予算感に合っている
中小規模の企業サイトでは、ゼロからシステムを作る予算はありません。WordPressは「安く、早く、更新できる」の落としどころになっているので、案件の総数が単純に多いです。
私が実際に作ってきた案件
抽象的な話にならないよう、実際に担当したものを書きます。
WordPressで作ったもの
- 学習塾のサイト:メインビジュアルのスライドショー、コース紹介、お知らせ更新
- 寺院のサイト:行事の告知更新、雰囲気を出すための動きのある構成
どちらも要件定義・設計・デザイン・コンテンツ制作・テスト・リリースまで一貫して担当しています。使ったのはWordPress、HTML/CSS、JavaScript、jQuery、PHPです。
ここで重要なのは、業種がまったく違っても、必要な技術は同じだという点です。一度覚えれば横展開が効きます。
ShopifyでのEC構築
- アクセサリーのネットショップ
- ヨガ関連用品のネットショップ
- コンセプトカフェのオンラインストア(商品カテゴリの整理と導線設計を含む)
ECが絡むとWordPressではなくShopifyになります。使うのはHTML/CSS/JavaScript/jQueryに加えてLiquidというテンプレート言語です。
共通しているのは「更新できる状態で納品する」こと
静的コーディングとの最大の違いはここです。納品後にクライアント自身が触れる形にするのがCMS案件の本質で、そのぶん単価も上がります。
「WordPressができる」の3段階
ひとことでWordPressと言っても、求められるレベルには段階があります。ここを整理しておかないと、勉強の終わりが見えません。
| 段階 | できること | 案件 |
|---|---|---|
| ①既存テーマの調整 | テーマを入れてCSSで見た目を調整 | 小規模・低単価 |
| ②オリジナルテーマ制作 | デザインから自作テーマを組む | ここから実務レベル |
| ③カスタム投稿・機能追加 | カスタム投稿タイプ、カスタムフィールド、プラグイン調整 | 中〜大規模・高単価 |
目指すべきは②、できれば③
①だけでは「WordPressができます」とは言いにくいのが実情です。テーマを入れて色を変えるだけなら、クライアント自身でもできてしまいます。
案件として成立するのは②からです。デザインを渡されて、それをWordPressで動く形にできる。ここが最初の到達点になります。
③まで行くと、実績紹介やスタッフ紹介といった「決まった形の情報を繰り返し登録する」機能が作れます。企業サイトではほぼ必ず出てくる要件なので、ここまで来ると案件を選べるようになります。
どこまで学べばいいか
最低限:PHPは「読めて、書き換えられる」レベル
WordPressのテーマ制作にはPHPを使いますが、ゼロからプログラムを設計する必要はありません。
必要なのは、テンプレートタグの意味が分かり、ループの中で何が起きているかを理解し、必要に応じて書き換えられること。「PHPを一から勉強する」必要はないと考えて大丈夫です。
覚えるべき具体的な項目
- テーマの基本構成(header / footer / single / page / archive)
- WordPressループの仕組み
- カスタム投稿タイプとカスタムフィールド
- ローカル環境の構築と本番への移行
- プラグインの選び方と、入れすぎないこと
これは後回しでいい
- プラグインの自作
- REST API を使った開発
- ブロックエディタ用のブロック開発
いずれも実務で必要になる場面はありますが、案件を取り始める段階では不要です。
WordPress案件でよく起きること
技術書には書いていないけれど、実務では必ず出てくる部分です。ここを知っているかどうかで、案件の進み方がまったく違います。
「あとから項目を増やしたい」と言われる
最も多いパターンです。公開後に「実績紹介に業種の欄も足したい」といった要望が来ます。
ここでカスタムフィールドを使って作ってあれば、追加は簡単です。逆に本文に直接書く形にしていると、全ページを手作業で直すことになります。最初の設計が後の工数を決めます。
プラグインの入れすぎで重くなる
「機能はプラグインで足せる」と考えると、気づけば20個入っている状態になります。表示速度が落ち、更新のたびに不具合の可能性が増えます。
プラグインは必要最小限にする。これは実務で強く意識している部分です。同じ機能なら、テーマ側で数行書いたほうが安全な場面も多くあります。
クライアントが更新できずに戻ってくる
納品して終わりではありません。「どこを触れば何が変わるか」が分からない構成にすると、結局こちらに連絡が来ます。
管理画面の項目名を分かりやすくしておく、簡単な手順書を渡す。この一手間で、その後のやり取りが大きく減ります。逆にここを丁寧にやると、継続案件につながりやすくなります。
本番環境への移行でつまずく
ローカルで作って本番に上げる作業は、初めてだと必ず一度は詰まります。URLの置換、パーマリンクの設定、SSLまわり。ここは経験値でしか埋まらないので、練習用のサーバーで一度通しておくことをおすすめします。
学習の順番と期間の目安
先にHTML/CSSが固まっていることが前提です。順番を飛ばすと必ず戻ってきます。
- ローカル環境を作る(1〜2日)
- 既存テーマの構造を読む(1週間)
- 静的HTMLをテーマ化する(2〜3週間)← ここが山場
- カスタム投稿タイプを追加する(1〜2週間)
- 自作サイトを1本作り切る(1か月)
合計で2〜3か月が目安です。すでにHTML/CSSでサイトを作れる人なら、ここは思っているより早く進みます。
いちばん効率がいいのは、すでに自分で作った静的サイトをWordPress化することです。デザインを考える手間がなく、テーマ化の作業だけに集中できます。学習の進め方はコーダーの独学はどのくらいかかるかも参考にしてください。
WordPress案件を取るためのポートフォリオ
「見た目」より「仕組み」を見せる
静的サイトのポートフォリオはデザインを見せれば済みますが、WordPress案件では違います。相手が知りたいのは「更新できる形になっているか」です。
そのため、次の点を説明に書いてください。
- どの部分を管理画面から更新できるようにしたか
- カスタム投稿タイプを使ったか、何のために使ったか
- 使用したプラグインと、その理由
実際に触れる状態にしておく
可能なら、デモ用の管理画面アカウントを用意しておくと強いです。「見せられます」と言えるだけで、他の応募者との差になります。
架空案件でいい
実績がない段階では、架空のクライアントを設定して作れば十分です。「◯◯という塾のサイトを想定し、コース紹介とお知らせを更新できる形にした」と書けば、要件から考えられる人だと伝わります。
私が担当してきた案件も、業種は学習塾、寺院、EC各種とバラバラですが、やっていることは「更新できる形にする」で共通しています。題材は何でも構いません。
ポートフォリオ全体の作り方はポートフォリオの作り方と見せ方にまとめています。
WordPressが不要なケースもある
全員に必要とは言いません。次の場合は優先度が下がります。
LP制作に特化する場合
広告用のランディングページは、更新が発生しないため静的HTMLで完結します。LPだけで回すなら、WordPressよりデザインや構成力を伸ばすほうが有効です。
大手の常駐案件を狙う場合
大企業の案件では、独自のCMSや専用の管理システムを使っていることがあります。この場合はWordPressの知識より、レギュレーションを守る正確さのほうが評価されます。
ECを主戦場にする場合
ネットショップならWordPressよりShopifyです。私が受けているEC案件も全てShopifyで、テンプレート言語のLiquidを使っています。狙う領域で選ぶべきものが変わります。
WordPressとShopify、どちらを先に覚えるか
| 項目 | WordPress | Shopify |
|---|---|---|
| 主な用途 | 企業サイト・ブログ | ネットショップ |
| 使う言語 | PHP | Liquid |
| 案件数 | 非常に多い | 多い(増加傾向) |
| 継続案件 | 保守・更新 | 商品追加・改善 |
先に覚えるならWordPressです。案件数が圧倒的に多く、企業サイトという最も一般的な案件に対応できるようになるからです。Shopifyは、EC案件が来るようになってからで間に合います。
よくある質問
Q. PHPを勉強してからでないとダメですか?
不要です。WordPressのテーマ制作で使うPHPは限られた範囲なので、テーマを作りながら覚えるほうが効率的です。先にPHPの入門書を1冊やる必要はありません。
Q. ブロックエディタ(Gutenberg)対応は必要ですか?
案件によります。まずは従来のテーマ制作ができることを優先してください。ブロック開発は、必要になった時点で覚えて間に合います。
Q. 有料テーマを使った案件でもいいのですか?
問題ありません。実務では、既存テーマをベースに構築する案件も多くあります。大事なのはクライアントの要件を満たすことで、自作にこだわる必要はありません。
Q. WordPressができると単価はどのくらい上がりますか?
案件の層が変わるため一概には言えませんが、静的コーディングのみと比べて明確に上がります。相場はコーダーの単価相場にまとめています。
Q. AIがある今、覚える意味はありますか?
あります。AIはコードを書けますが、要件を聞き取り、構成を決め、納品後にクライアントが運用できる形にするのは人の仕事です。この点はコーダーの仕事は無くなるのかで書いています。
まとめ|②まで行けば、案件の層が変わる
- 単価を上げたいならWordPressは必要
- 目指すのは②オリジナルテーマ制作、できれば③カスタム投稿まで
- PHPは一から勉強しなくていい。テーマを作りながら覚える
- 期間は2〜3か月が目安。静的サイトのWordPress化が最短
- ECならWordPressではなくShopify
私がフリーランスとして案件を受け続けられているのは、技術が特別だからではありません。「更新できる状態で納品できる」という一点で、対応できる案件の幅が広がっただけです。
今の自分のスキルでいくらの案件があるのかは、聞いてみないと分かりません。登録も相談も無料です。
他に何を学ぶべきかはコーダーに必要なスキル、独立の全体像はフリーランスになるための7ステップにまとめています。

