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「コーダーの仕事がきつい」
「もう辞めたいけど、他にできることもない」
「この働き方をあと何年も続けられる気がしない」
そう感じているなら、まず知っておいてほしいことがあります。
私はWeb制作を14年ほど続けてきましたが、その間に何度も「もう無理だ」と思っています。時給714円で働いていた時期もあれば、体調を崩しかけたこともあり、フリーランスを一度やめて会社勤めに戻ったことも二度あります。
この記事では、きれいごとを書きません。何がきつかったのか、そこからどうやって抜け出したのかを具体的に書きます。
結論:きつさには4種類あり、本当に辞めるべきなのは1つだけ
「コーダーがきつい」とひとことで言っても、中身はまったく違います。私は次の4つに分けて考えるようにしています。
| きつさの種類 | 具体例 | 対処 |
|---|---|---|
| ① 環境のきつさ | 単価が低い、残業が多い、職場が合わない | 環境を変えれば消える |
| ② スキルのきつさ | 分からない、追いつけない、遅い | 時間が解決する |
| ③ 体と生活のきつさ | 目や肩、睡眠、運動不足 | 設計で改善できる |
| ④ 適性のきつさ | 作業そのものが苦痛 | 職種を変える判断もあり |
本当に「辞める」判断が必要なのは④だけです。そして、辞めたいと感じている人の多くは、実際には①か②です。
問題は、渦中にいるとこの区別がつかないことです。私自身、①のきつさを「自分には向いていない」と思い込んでいた時期があります。
コーダーがきついと言われる7つの理由
1. 単価が上がりにくい
HTML/CSS中心の案件は、作業内容が明確なぶん代わりが見つけやすく、単価が伸びにくい構造があります。正社員コーダーの平均年収は370万円台とされ、他のエンジニア職と比べて低めです。
2. 修正がいつまでも終わらない
「あと1箇所だけ」が積み重なる仕事です。しかも修正は評価されにくい。作った量より直した量のほうが多い日が続くと、消耗します。
3. 納期が動かない
公開日が決まっている案件では、こちらの都合で期日は動きません。前工程が遅れても、しわ寄せは最後のコーディング工程に来ます。
4. 細かい確認作業が延々と続く
ブラウザ確認、スマホ確認、表記チェック。地味で、しかもミスが許されません。大規模案件ほどこの比重が上がります。
5. 技術が変わり続ける
数年前の書き方が非推奨になることが普通にあります。「覚えたら終わり」がない仕事です。
6. 座りっぱなしで体に来る
目、肩、腰。これは根性ではどうにもなりません。
7. 相談できる相手がいない
特にフリーランスや一人現場では、詰まっても聞く相手がいません。これがいちばん効きます。
きつさを感じやすいタイミングは決まっている
私が経験した限り、コーダーがきついと感じるのは次の4つの場面に集中しています。逆に言えば、ここを乗り切る方法さえ用意しておけば、辞めずに済みます。
公開直前の1週間
前工程の遅れがすべて集まってくる時期です。デザインの確定が遅れても、公開日は動きません。
対策は単純で、着手前に「素材がいつ揃うか」を確認しておくことです。ここを確認せずに受けると、毎回同じ状況になります。
修正が5回目を超えたとき
修正自体はどの案件でも発生します。問題は、終わりが見えないときです。
「修正は◯回まで」「それ以降は別途見積もり」と最初に決めておくだけで、精神的な負荷はまったく違います。決めていないと、際限なく続きます。
案件と案件の切れ目
フリーランスで最もきついのはここです。収入が読めない時期は、判断が焦ります。私が会社勤めに戻ったのも、この局面でした。
対策は案件が終わる1か月前から次を探し始めることです。終わってから探すと、条件の悪い案件でも受けざるを得なくなります。
周囲と比べてしまったとき
SNSには「月100万達成」といった発信が並びます。しかし背景(経験年数、稼働時間、前職)は見えません。
比べるべきは他人ではなく1年前の自分です。私も時給714円だった頃に他人と比べていたら、そこで辞めていたと思います。
私がいちばんきつかった時期の話
ここからは自分の話を正直に書きます。
時給714円で月140時間働いていた
フリーランスとして活動を始めた当初、私は案件の取り方を自力の営業しか知りませんでした。企業に片っ端から連絡して、ようやく取れたのが月10万円の案件です。
金額だけ見ると悪くないように思えますが、問題は時間でした。月140時間かかっていたので、時給に直すと714円です。アルバイトのほうが高い水準でした。
それでも、他に案件を取る方法を知らなかったので、必死にこなすしかありませんでした。これは「コーダーがきつい」のではなく、「案件の取り方を知らないことがきつい」状態だったのですが、当時はその区別がついていませんでした。
体を壊しかけた
その時期、生活は完全に崩れていました。自由な働き方のはずが、実際には朝も夜もなく作業している状態です。
私は最初、体を壊しかけました。フリーランスは誰も止めてくれないので、限界まで行ってしまいます。習慣を見直すまで、この状態が続きました。具体的な立て直し方はフリーランスでも健康に働くための5つの習慣に書いています。
会社勤めに二度戻っている
あまり書かれない話だと思うので正直に書きますが、私は独立したあと、一度ではなく二度、会社に雇用される働き方に戻っています。
案件が途切れ、収入が読めなくなり、「やはり自分には向いていなかったのかもしれない」と考えた時期でした。
今振り返れば、これは適性の問題ではなく、案件を安定させる仕組みを持っていなかっただけです。ただ、当時はそう思えませんでした。
正社員時代は年収300万円で、残業も休日出勤もあった
会社員としてコーディングをしていた時期の年収は300万円ほどでした。残業も多く、休日出勤もありました。
「作業内容は同じなのに、報われていない」という感覚が、いちばんきつかったと思います。
抜け出したきっかけは、努力ではなく「方法を変えたこと」
状況が変わったのは、根性でも技術力でもありませんでした。
案件の取り方を変えた
自力営業しか知らなかった状態から、エージェントを使うようになりました。結果として、時給714円だったものが3,400円になりました。
やっている作業はほとんど変わっていません。変えたのは「どこから仕事を取るか」だけです。この経緯はエージェントとの出会いで変わった話に詳しく書いています。
働き方の枠組みを変えた
その後、フリーランスとして企業に常駐するようになり、年収は300万円から600万円ほどに倍増しました。しかも残業がなくなり、休日もきちんと休めるようになっています。
これも作業内容は変わっていません。環境のきつさは、環境を変えれば消えるという話です。詳細はコーダーは年収が低い?年収を上げた方法にまとめています。
14年続けてみて分かった、続く人と辞める人の違い
これまで、いくつもの制作現場を見てきました。30人規模のチームにいたこともあれば、一人で案件を回したこともあります。そこで気づいたことを書きます。
続く人は、技術力が高い人ではなかった
意外に思われるかもしれませんが、現場で長く重宝されていたのは、いちばん技術が高い人ではありませんでした。
評価されていたのは、指示されたデザインを正確に再現できる人と、「ここが間に合いません」を早い段階で言える人です。
逆に、技術はあるのに黙って抱え込む人は、結果的に信頼を失っていました。
辞めていく人に共通していたこと
辞めていった人を思い返すと、共通点がありました。
- 一人で抱え込んでいた:詰まっても聞かず、期限直前に発覚する
- 選択肢を1つしか持っていなかった:案件の取り方が1つだけ、取引先が1社だけ
- 比較対象を持っていなかった:今の条件が悪いことに気づいていない
技術力が理由で辞めた人は、実はあまり見ていません。辞める理由のほとんどは、環境と構造の側にありました。
だから「逃げ道」を先に作っておく
精神論ではなく仕組みの話です。
- 案件の取り方を2つ以上持つ
- 相談できる相手(担当者でも同業者でも)を作る
- 自分の市場価値を定期的に確認する
この3つがあるだけで、きつくなったときに「辞める」以外の選択肢が見えます。私が14年続けられたのは、我慢強かったからではなく、途中でこの3つを持てたからです。
辞める前にやってほしい5つのこと
1. きつさがどの種類か切り分ける
まず冒頭の4分類のどれかを判定してください。「単価が低い」「残業が多い」なら①で、これは辞める理由ではなく環境を変える理由です。
2. 自分の市場価値を数字で確認する
今の待遇が適正かどうかは、外の数字を見ないと分かりません。転職や独立をする気がなくても、提示額だけ聞いておくのは有効です。
私が「今の環境はおかしい」と気づけたのも、外の数字を知ったからでした。相場についてはコーダーの単価相場にまとめています。
3. 案件の取り方を1つ増やす
自力営業だけ、クラウドソーシングだけ、という状態はきついです。取り方が1つしかないと、条件を選べません。選べないから、悪い条件でも受けることになります。
登録も相談も無料なので、比較対象を持っておくだけで判断が変わります。フリーランスコーダーにおすすめのエージェント9選で比較しています。
4. 作業環境と生活リズムを見直す
体のきつさは、椅子・モニターの高さ・休憩の取り方でかなり変わります。根性で解決しようとしないでください。
5. 期限を決めて判断を保留する
疲れているときの判断は、たいてい極端になります。「3か月後にもう一度考える」と決めて、それまでは環境を変えることだけに集中してください。
「辞めたい」と感じたときにやってはいけないこと
勢いで契約を切る
疲れているときの判断は極端になります。次が決まっていない状態で切ると、収入の空白がそのまま焦りになり、より条件の悪い案件を受けることになります。
順番が逆です。次を決めてから切る。これだけで結果がまったく違います。
単価を下げて仕事を取りに行く
案件が取れない焦りから値下げすると、その額が自分の基準になります。一度下げた単価は戻しにくいのが現実です。
取れないのは価格の問題ではなく、探し方の問題であることのほうが多いです。
誰にも相談せずに抱える
エージェント経由で働いているなら、担当者は相談相手として使えます。現場が合わない、話が違う、といった状況は間に入ってもらうのが仕事です。
黙って我慢して契約終了を迎えるのが、いちばん損をします。私も、早めに言えばよかったと思う場面が何度もありました。
「甘えだ」と自分を責める
きついものはきついです。月140時間で10万円という状況を、私は当時「自分の実力不足」だと思っていました。実際には、単に構造がおかしかっただけです。
自分を責める前に、条件そのものが妥当かどうかを確認してください。
それでも「作業そのものが苦痛」なら
ここまでやっても、コードを書くこと自体が苦痛なら、それは④の適性のきつさです。その場合は職種を変える選択肢があります。
- Webデザイナー:見た目を考えるのが好きなら。コーダーとデザイナーの違い
- フロントエンドエンジニア:仕組みを作るほうが向いていそうなら。違いはこちら
- ディレクター:決める側に回りたいなら
これまでの経験は無駄になりません。実装が分かるディレクターやデザイナーは、現場で重宝されます。
適性そのものを整理したい場合はコーダーに向いている人・向いていない人の特徴にチェックリストを置いています。
よくある質問
Q. きついのは自分だけですか?
いいえ。私も何度も限界を感じています。時給714円で働いた時期も、体調を崩しかけた時期も、勤務に戻った時期もあります。続いている人が、きつさを感じていないわけではありません。
Q. 未経験で入ったばかりですが、もう限界です
最初の1〜2年がいちばんきついのは事実です。分からないことが多く、作業も遅く、それでも納期は来ます。ここを過ぎると景色が変わります。
Q. フリーランスになればきつさは減りますか?
種類が変わるだけです。人間関係のストレスは減りますが、収入の不安定さと孤独が加わります。私が二度戻ったのもそれが理由です。
Q. AIで仕事が減るのも不安です
単純なコーディングのみの案件は減っていきます。一方でAIの出力を検証・修正できる人の価値は上がっています。詳しくはコーダーの仕事は無くなるのかで書いています。
Q. 体調が悪い状態が続いています
それは仕事の相談ではなく、健康の問題です。まず休むこと、必要なら医療機関にかかることを優先してください。判断はそのあとで間に合います。
まとめ|「きつい」は、辞める理由とは限らない
- きつさは環境・スキル・体・適性の4種類。辞める必要があるのは適性だけ
- 私は時給714円で月140時間働き、体を壊しかけ、二度会社勤めに戻っている
- 抜け出せたきっかけは努力ではなく案件の取り方を変えたこと(時給714円→3,400円)
- 働き方の枠組みを変えたことで年収は300万円から600万円に
- 疲れているときに大きな判断をしない。3か月保留していい
あの頃の私に伝えたいのは、「向いていないんじゃない。方法を知らないだけだ」ということです。
まずは今の自分がいくらの評価なのかを確認するところから始めてください。登録も相談も無料です。数字が分かるだけで、辞めるべきか環境を変えるべきかの判断がつきます。
独立の全体像はフリーランスになるための7ステップにまとめています。

