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コーダーの求人を探していると、正社員でも年収300万円未満、時給に直すと1,000円程度という条件をよく見かけます。他のエンジニア職では年収500万円以上が普通にあるのに、なぜコーダーだけ低いのか。
私は正社員のとき年収300万円でした。残業も休日出勤もありました。その後、作業内容をほとんど変えないまま年収は600万円になりました。
この記事では、コーダーの年収が構造的に低くなる理由と、私が実際に年収を倍にしたときにやったことを順番に書きます。
結論:低いのは実力ではなく「置かれている場所」
先に結論です。コーダーの年収が低いのは、スキルが足りないからではありません。年収が低くなりやすい構造の中に居続けているからです。
- 替えが効きやすい職種として扱われている
- 参入者が多く、単価競争が起きやすい
- 商流の深い場所で仕事を受けている
- 雇用形態が「時間を売る」形のまま
この4つのうち、自分で今日から動かせるのは3つ目と4つ目です。そこだけ変えれば数字は動きます。
コーダーの年収が低くなる4つの理由
理由1:替えが効きやすい
コーダーの主な仕事は、HTMLで構造を組み、CSSで見た目を整えることです。この範囲はフロントエンドエンジニアも担当できるため、「わざわざコーダーを立てなくてもいい」と判断されやすい立場にあります。
ただしこれは全員に当てはまるわけではありません。コーディングを極めて納品が速い人は、現場で確実に重宝されます。問題は「替えが効く仕事だけをしている状態」です。
理由2:参入者が多い
HTML/CSSは学習のハードルが低く、教材も充実しています。在宅で働きやすいこともあって人気があり、その結果として案件の単価が下がりやすくなっています。
需要が減ったのではなく、供給が増えた側の要因です。だから「頑張って勉強する」だけでは抜けられません。
理由3:ノーコードツールとテンプレートの普及
以前からページビルダー系のツールはありましたが、より作り込めるノーコードツールが広がり、「コーダーを雇わずに済ませよう」と判断する企業も出ています。
とはいえ、ツールで作ると細かいところで必ず引っかかります。痒いところに手が届かない部分を直せる人は今後も必要とされます。この話はコーダーの将来性で詳しく書きました。
理由4:商流が深い場所で受けている
これが最も見落とされます。発注元から自分までの間に会社が3社入っていれば、そのぶん手元に残る金額は減ります。同じ作業、同じ納期でも、入り口が違うだけで金額が変わります。
「年収が低い」の中身を、働き方ごとに分解する
ひとくちにコーダーと言っても、雇用形態によって数字はまったく違います。
| 働き方 | 年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 正社員(制作会社) | 300万円前後〜 | 安定するが、残業・休日出勤が乗りやすい |
| 派遣 | 時給ベース | 時間の切り売りになりやすい |
| クラウドソーシング中心 | 不安定 | 単価の分布そのものが低い |
| エージェント経由のフリーランス | 600万円前後 | 月50万円台の提示が現実的なライン |
詳しい単価の分布はコーダーの単価相場にまとめています。
低い年収は、たいてい長い拘束時間とセットで来る
年収300万円だった頃、深夜と休日の対応が常態化していた
金額の話をする前に、あわせて見てほしいものがあります。その金額のために、どれだけの時間を差し出しているかです。
私が正社員として年収300万円だった時期、深夜や休日に対応する日が常態化していました。忙しい月だけの話ではなく、それが普通の状態でした。
年収が低い状態というのは、たいていこの形で来ます。金額が少ないだけなら、まだ立て直しようがあります。厄介なのは、少ない金額と長い拘束時間が同時に来ることです。
「稼げない」と「時間がない」は同じ構造から出てくる
この2つは別々の悩みに見えて、実際には同じ輪の中にあります。
- 単価が低いので、件数でしか収入を増やせない
- 件数を増やすと、稼働時間が伸びる
- 稼働時間が伸びるので、単価を上げる準備ができない
- 準備ができないので、単価が上がらない
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。この輪の中にいるかぎり、努力の量では抜けられません。時間を差し出すほど、抜け出すための手段が減っていくからです。
「頑張っているのに変わらない」と感じている人は、努力が足りないのではなく、努力を投入する先が輪の内側になっている状態です。
倍になったとき、増えたのは作業量ではなかった
私の収入が倍になったとき、作業量は増えていません。むしろ拘束時間は減りました。
だから年収を上げたい人ほど、先に時間のほうを見てほしいと思っています。時間が空かないと、次の手を打つ余地そのものが生まれません。
私が年収を倍にしたときにやったこと
雇用形態を変えた
それまでは正社員や派遣社員として働いていました。そこからフリーランスとして企業に常駐する形に変えたところ、年収は300万円台から600万円ほどになりました。
作業内容は変えていない
ここが重要な点です。やっていた作業は、正社員のころとほとんど同じでした。新しい言語を覚えたわけでも、資格を取ったわけでもありません。
変わったのは、誰と契約しているかと、どこから仕事が来ているかだけです。
むしろ働く時間は減った
社員時代は残業が多く、休日出勤もありました。フリーランスになってからは残業が無くなり、休日もゆっくり休めるようになりました。収入が倍になって、労働時間は減ったという状態です。
このとき使ったのがフリーランスエージェントです。案件を探すだけでなく、契約や条件の交渉も間に入ってくれるので、独立したばかりでも進めやすいと思います。
いま案件が切れていて収入がゼロという段階なら、単価の話より先に手を打つ順番があります。仕事がないときの3つの解決法をご覧ください。年収が上がらない状態そのものの分解は年収が上がらない人の特徴に書いています。
収入源を3つ持つと、下がりにくくなる
年収を上げたあとに効いてきたのは、収入の入り口を1つにしなかったことです。
1. エージェント経由の継続案件(土台)
毎月の基礎になる部分です。ここが安定していると、他の営業を落ち着いて進められます。私は7社に登録しましたが、門前払いはゼロで、提示されたのはどこも月50万円台でした。
登録先の比較はフリーランスコーダーにおすすめのエージェントにまとめています。空白期間の保障があるMidworksのような会社を1社入れておくと、収入が途切れる不安が減ります。
2. クラウドソーシング(待ちの営業)
フリーランスになると同時に始めたのが、クラウドソーシングでの受注です。Web制作の案件は比較的多く、登録してすぐに案件を取れるようになりました。
ポイントはスキルを出品しておくと、企業や個人からアプローチが来ることです。自分から探さなくても声がかかるので、他の作業をしながら並行できます。登録も出品も無料なので、置いておくだけでも入り口が1つ増えます。
なお、在宅中心で探したい場合は、クラウドソーシングよりもリモート比率の高さを公表しているエージェントを併用するほうが単価の面では現実的です。クラウドワークステックは案件の97%がリモート対応と公表しており、Web制作寄りの案件も扱っています。
副業が認められている会社にいるなら、社員のうちから登録しておいて損はありません。
3. 制作会社への直接営業
エージェントとクラウドソーシングに加えて、企業への直接営業も並行しました。難しいことはしていません。
- メールの文面を1つ用意する
- 制作会社の求人情報を見る
- そのままお問い合わせページから連絡する
求人を出している会社は人手が足りていることが確実なので、業務委託の相談に乗ってもらいやすくなります。ここから実際に案件をいただけるようになり、月に数件(1件あたり数万円)を受注できました。
直接取引とエージェントの使い分けはエージェントと直営業の比較で整理しています。
まず自分の「時給」を出してみる
年収の話は金額が大きすぎて実感が湧きません。時給に直すと、状況が一気に見えます。
計算はこれだけ
- 会社員の場合:年収 ÷ 12 ÷ 実際の稼働時間(残業込み)
- フリーランスの場合:月の収入 ÷ その月に使った時間(打ち合わせ・修正対応・営業も含める)
ポイントは、実際に使った時間を全部入れることです。修正のやり取りや見積もり作成を除外すると、実態より高く出ます。
私の場合はこうでした
条件の悪い案件を受けていた時期は、月140時間動いて10万円でした。時給に直すと714円です。数字にするまで、自分がどれだけ安く働いているか分かっていませんでした。
そこからエージェント経由の案件に移ったあとは、時給換算で3,400円ほどになりました。同じHTML/CSSの作業です。
この数字が判断の基準になる
時給が出ると、案件を受けるかどうかを感覚ではなく数字で決められるようになります。「この単価だと時給いくらになるか」を先に計算する癖がつくと、安い案件を反射的に受けなくなります。
制作会社への直接営業は、何を送ればいいのか
3つ目の収入源として挙げた直接営業について、もう少し具体的に書きます。
送り先は「求人を出している会社」に絞る
これが一番のコツです。私は制作会社の求人情報を見てからお問い合わせページに連絡していました。求人を出しているということは、人手が足りているのが確実だからです。
一方で、求人を出していない会社に送っても、そもそも必要とされていないことが多く、返信率は下がります。
文面は毎回作らない
1つ用意して使い回します。毎回ゼロから書いていると、送る件数が伸びません。送る数を確保するほうが、文面を磨くより効きます。
入れておく情報
- 対応できる範囲(HTML/CSS、JavaScript、WordPressなど)
- これまでに作ったものが分かる実績(URLでも可)
- 稼働できる日数と、稼働開始できる時期
- 業務委託での相談が可能である旨
凝った自己PRは要りません。「何ができて、いつから、どれくらい動けるか」が分かれば、先方は判断できます。
結果として何が起きたか
この方法で、月に数件(1件あたり数万円)の案件を受注できるようになりました。金額としては土台にはなりませんが、エージェント案件の合間を埋める役割になります。
営業の進め方はフリーランスの仕事の取り方でも触れています。
年収が上がらない人がやっていないこと
外の数字を見ていない
今の年収が安いかどうかは、外を見ないと分かりません。私も時給に直すと714円という条件で働いていた時期がありますが、当時は安いと気づいていませんでした。
入り口を増やしていない
収入源が1つだと、そこが止まった瞬間にゼロになります。だから条件の悪い案件も断れなくなり、単価が下がる方向に進みます。
説明をしていない
指示どおりに実装するだけだと、評価は「作業量」でしか測られません。「なぜこの実装なのか」を言えると、扱いが変わります。
正社員のまま年収を上げる選択肢もある
ここまでフリーランスの話が中心でしたが、独立が唯一の答えではありません。私自身、独立したあとに二度、会社勤めに戻っています。合う働き方は時期によって変わります。
1. 副業から始める
副業が認められているなら、いきなり辞める必要はありません。クラウドソーシングに出品しておくだけでも、本業以外の収入が発生するかどうかを、リスクなしで確認できます。
2. 制作会社から事業会社へ移る
同じコーディング業務でも、受託中心の制作会社と、自社サービスを持つ事業会社では給与水準が違うことがあります。職種を変えずに環境だけ変えるという選択肢です。
3. 社内で対応範囲を広げる
実装だけでなく、更新の仕組みづくりや、依頼内容の整理まで引き受けると、評価の対象が変わります。「作業者」から「相談される人」に移るのが、社内で単価を上げる唯一の道です。
どの道を選ぶにしても、判断材料として外の提示額は知っておいたほうがいいです。転職や独立をしないと決めていても、数字だけは聞けます。
逆に、やらなくていいこと
- 資格を取る — 制作の現場では実績のほうが見られます
- 言語を一気に増やす — 1つ足すだけで案件の帯は変わります
- 単価の低い案件を数でこなす — 時間だけ減って単価は上がりません
年収が低い時期ほど「もっと勉強しなければ」と考えがちですが、先に変えるべきは働き方のほうです。
今日からの手順
- エージェント2〜3社に登録して、提示額を聞く(今すぐ変える気がなくても構いません)
- 今の年収・時給を計算して、提示額と並べる
- 差が大きければ、雇用形態を変えることを検討する
- クラウドソーシングにスキルを出品しておく
- 余力ができたら、制作会社への直接営業を始める
1番だけで現在地が分かります。具体的な上げ方はコーダーの単価の上げ方にまとめました。
よくある質問
Q. 未経験からでも年収は上がりますか
実務経験が必要な案件が多いため、まずは経験を積める環境が要ります。ただし経験1〜2年の段階でも、雇用形態を変えるだけで数字は動きます。
Q. フリーランスは不安定では
収入源が1つだけなら不安定です。逆に入り口を3つ持てば、正社員より安定することもあります。私が複数のエージェントに登録したまま継続しているのは、この理由です。
Q. 常駐だと自由がないのでは
私の場合は逆でした。常駐に変えたことで残業と休日出勤が無くなりました。会社員時代よりも時間の自由は増えています。
Q. 直接営業は嫌がられませんか
求人を出している会社に、実績を添えて連絡する分には問題ありません。断られても、それは今の必要性の話であって評価の話ではありません。
Q. 収入源を3つ持つと、手が回らなくなりませんか
同時に全部を全力でやる必要はありません。土台はエージェント経由の継続案件1本で、残り2つは「置いておくだけ」で構いません。クラウドソーシングは出品したまま放置でき、直接営業は余力のある月だけ送れば十分です。
Q. 何年やれば年収600万円に届きますか
年数ではなく働き方で決まります。私の場合、年収が倍になったのは技術が伸びた年ではなく、雇用形態を変えた年でした。逆に、同じ環境に留まったまま数年経っても数字は動きません。
まとめ
コーダーの年収が低い理由は、替えが効きやすいこと・参入者が多いこと・ツールの普及・商流の深さの4つです。前の2つは自分では変えられませんが、後ろの2つは選び直せます。
私は作業内容を変えないまま、雇用形態と仕事の入り口を変えただけで年収が倍になりました。残業も休日出勤も無くなりました。
今の年収に不満があるなら、勉強を増やす前に外の数字を1つ聞いてみてください。そこからしか始まりません。

