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「何年か離れていたけど、また戻れるだろうか」
Web制作から一度離れた人が、いちばん最初に不安になるのがここだと思います。技術が変わっているのではないか。もう若い人に勝てないのではないか。
私はWeb制作に14年関わり、派遣・正社員・フリーランスのすべてを経験しました。そして独立したあと、一度ではなく二度、会社に雇用される働き方に戻っています。そこからまた独立しているので、離れて戻る側の立場も分かります。
この記事では、ブランクが実際にどこで効いて、どこでは効かないのかを書きます。
結論:ブランクの長さより「説明できるか」で決まる
先に結論です。面談でも現場でも、ブランクの年数そのものを問題にされたことは、私はほとんどありません。
問題になるのは年数ではなく、次の2つです。
- 離れていた期間に何をしていたかを説明できるか
- いま何がどこまでできるかを説明できるか
この2つが言えれば、3年空いていても話は進みます。逆に、この2つが曖昧だと、ブランクが半年でも扱いに困られます。相手が判断できない状態がいちばん不利だということです。
ブランクには2種類あって、重さが違う
ひとくちにブランクと言っても、実務から離れていたのか、技術から離れていたのかで意味が変わります。
| 実務のブランク | 技術のブランク | |
|---|---|---|
| 中身 | 納品・やり取り・締め切りから離れていた | 新しい書き方や道具に触れていない |
| 戻すのにかかる時間 | 数週間〜1か月 | 数か月 |
| 面談での扱い | ほぼ聞かれない | 具体的に確認される |
| 対処 | 1本作って感覚を戻す | 足りないものを1つに絞って埋める |
意外なことに、重いのは実務のブランクではない
私の実感では、納品のリズムや連絡の間隔は、1か月も動けばだいたい戻ります。体で覚えている部分だからです。
厄介なのは技術のほうです。ただしこれも、全部を追う必要はありません。いま受けたい案件で必要なものだけを埋めれば足ります。
私が二度戻ったときに、何が起きていたか
離れた理由は、技術についていけなかったからではない
正直に書きます。私が会社勤めに戻った理由は、スキル不足ではありませんでした。案件が途切れ、収入が読めなくなったからです。
当時は「やはり自分には向いていなかったのかもしれない」と考えていました。ですが今振り返れば、これは適性の問題ではなく、案件を安定させる仕組みを持っていなかっただけです。
ここは、離れた経験のある人にぜひ知っておいてほしい部分です。離れた理由が「実力」だったのか「仕組み」だったのかで、戻り方がまったく変わります。
戻るときに変えたのは、技術ではなく入り口
二度目に独立したとき、私が変えたのはコーディングのやり方ではありません。仕事がどこから入ってくるかを増やしたことです。
同じ場所に同じ形で戻ると、同じところで止まります。戻る前に、前回つまずいた点を1つだけ特定しておく。これが再開時にいちばん効きました。
技術のブランクは、思っているほど致命的ではない
私がReactを本格的に触ったのは、かなり後です
もう一つ正直に書くと、私がReactやTypeScriptを本格的に触ったのは、キャリア全体から見ればかなり後です。それまで仕事が止まったことはありません。
HTML/CSSからJavaScriptに進むまでも数年空いていて、そのぶん遠回りしました。順番どおりに進んでいただけなのに、当時は「同期に追いつけていない」と焦っていたのを覚えています。
変わっていないものが、実は多い
数年離れていた人が驚くのは、基礎の部分がほとんど変わっていないことです。
- HTMLの構造の考え方
- CSSの基本的な組み方
- デザインを正確に再現する作業
- クライアントとのやり取りの進め方
- 締め切りの守り方
これらは10年前とほぼ同じです。変わったのは道具と周辺であって、土台ではありません。
変わった部分だけ、あとで足す
逆に、離れている間に一般化したものもあります。
- デザインツールがFigmaに寄った
- Gitでのやり取りが前提になった
- スマホ側から設計する順番が普通になった
- AIツールが下書きに使われるようになった
これらはそれぞれ数日〜数週間で追いつける範囲です。ゼロから学び直す話ではありません。詳しくはFigmaからのコーディング、コーダーにGitは必要かにまとめました。
復帰組が有利になる場面もある
離れていた期間の経験が、そのまま差になる
ここはあまり書かれない話ですが、ブランクが不利にならないどころか、有利に働く場面があります。
私のキャリアは、コーダーではなくメーカーのWeb担当として始まりました。自社のネットショップを運用しながら、商品ページやメルマガ、広告用のLPを作る仕事です。この発注する側にいた経験が、制作側に回ったあとにずっと効いています。
相手が何を心配して、どこで判断に迷うか。これは制作側からだけ見ていると分かりません。離れていた期間に別の業界にいたなら、それは空白ではなく別の視点です。
具体的に効くのはこの3つ
- 業界知識(その業界の案件で、前提の説明が要らない)
- 発注側の感覚(何を伝えれば安心されるかが分かる)
- 社会人としての基本動作(報告・確認・期限管理)
3つ目を軽く見ないでください。技術は高いのに、確認を飛ばして事故を出す人は現場に一定数います。ここを外さない人は、それだけで重宝されます。
経歴書には「空白」ではなく「経験」として書く
ブランク期間を「離れていました」で終わらせず、その間に何を見ていたかを1行足してください。読む側の受け取り方が変わります。
職種が違っても構いません。担当範囲と、自分で判断していた範囲を書けば、評価の対象になります。
復帰前に確認する3つ
1. 前に離れた理由が解消されているか
体調なのか、収入なのか、働き方なのか。ここを特定しないまま戻ると、同じ理由でまた離れます。私が二度戻ったのは、これをやらなかったからです。
2. いくらあれば生活が回るか
理想ではなく最低ラインを出してください。この数字が無いと、条件の悪い案件を反射的に受けてしまいます。
3. 週に何日使えるか
家庭や別の仕事がある場合、ここを先に決めておくと、紹介される案件の種類が変わります。週3〜4という選択肢もあります(週3案件で働くという選択)。
3か月で戻すための進め方
1か月目:手を動かして感覚を戻す
いきなり案件を探さず、まず1本作ります。架空の案件で構いません。目的は完成度ではなく、作業のリズムを体に戻すことです。
ここで「思ったより書けるな」と気づく人が多いです。逆に詰まった箇所が、そのまま埋めるべき項目になります。
2か月目:足りない1つだけを埋める
1か月目で詰まったものを1つだけ選んで学びます。複数を同時に追うと、また止まります。
何を選ぶべきか分からない場合は、次の項目で書くとおり、案件を紹介する側に聞いたほうが速いです。
3か月目:外に出して反応をもらう
作ったものと経歴を持って、面談を受けます。準備が完璧になるのを待たないでください。一人で仕上げ続けるより、途中で反応をもらったほうが早く仕上がります。
ブランクを面談でどう説明するか
隠さない。ただし、長く語らない
私が7社のエージェントに登録したとき、門前払いはゼロで、技術テストもありませんでした。聞かれたのは経歴・得意分野・週何日働けるかの3点だけです。
ブランクについては、聞かれたら事実を短く伝えて、いまできることに話を移すのが通ります。長く説明するほど、相手は不安になります。
この形で足ります
「◯年ほど別の仕事をしていて、実務からは離れていました。この数か月はFigmaからの実装とGitでの進め方を中心に戻していて、支給されたデザインの実装であれば問題なく対応できます。」
この3文で、相手が知りたい「離れていた事実」「戻すためにやったこと」「いまできる範囲」が全部入ります。
言い訳と受け取られる言い方は避ける
避けたいのは「勘が鈍っているかもしれませんが」「まだ自信がないのですが」という前置きです。相手はできる範囲を知りたいだけで、謙遜を求めていません。
現場が実際に見ているもの
復帰組が心配するほど、現場は最新技術を見ていません。私が30名規模の現場に入ったとき、最優先されていたのは技術の高さではありませんでした。
レギュレーションを守ることと、事故を出さないことです。
- 決められた命名規則に従う
- 確認を飛ばさない
- 期限前に状況を共有する
- 分からないことを早めに聞く
これらはブランクとまったく関係がなく、むしろ社会人経験が長い人ほど得意な領域です。ここは復帰組の強みになります。
戻る前に、相場だけ先に知っておく
復帰でいちばんもったいないのは、ブランクを引け目に感じて、安い条件を自分から受けてしまうことです。
私は自力の営業しか知らなかった時期、月10万円の案件を月140時間かけてこなしていました。時給に直すと714円です。当時これに気づけなかったのは、比較できる数字を1つも持っていなかったからでした。
フリーランスエージェントは登録も相談も無料で、面談で「この経歴だといくらの案件になるか」を具体的に教えてもらえます。私が7社から提示されたのは、どこも月50万円台でした。
復帰の時期が決まっていなくても登録はできます。面談で「このブランクだと、あと何を埋めれば案件の幅が広がりますか」と聞けば、2か月目に何を学ぶべきかがその場で分かります。一人で悩む時間を丸ごと省ける質問なので、必ず入れてください。
Midworksは正社員並みの保障を用意している会社で、収入が読めない復帰直後には向いています。9社の比較はフリーランスコーダーにおすすめのエージェントに、単価の目安はコーダーの単価相場にまとめました。
やってはいけない4つ
1. 全部を学び直そうとする
いちばん多い失敗です。ゼロからやり直す必要はありません。変わった部分だけを足せば足ります。
2. 準備が終わるまで動かない
準備が終わることはありません。3か月で外に出すと先に決めてください。
3. ブランクを理由に単価を下げる
一度下げた金額は、同じ相手にはあとから上げにくくなります。下げるなら期間と本数を決めてからにしてください。
4. 一人で判断し続ける
いまの自分が市場でどう見えるかは、自分では分かりません。私が遠回りした時期に共通していたのは、判断材料を自分の中にしか持っていなかったことでした。
よくある質問
Q. 何年空いていると厳しいですか
年数で線を引かれた経験は私にはありません。ただし5年以上空いている場合、道具が一通り入れ替わっているので、2か月目の学び直しに時間を見ておいてください。
Q. 年齢とブランクが重なっています
年齢そのものより、前職の経験を持ち込めるかで判断される場面のほうが多いというのが実感です。この点は30代・40代からの現実で詳しく書きました。
Q. ブランク中の期間は経歴書にどう書きますか
空白のままにせず、短くても事実を書いてください。別の仕事でも、家庭の事情でも構いません。空白があると、相手は最悪の想像をします。
Q. いきなりフリーランスに戻るのが不安です
常駐や週数日の案件から戻る形もあります。私自身、雇用される働き方に二度戻っています。行き来しながら条件を入れ替えるのは、珍しいことではありません。
Q. 実績が古いものしかありません
古い作品は、いまの実力より明らかに低ければ外してください。いちばん低い作品が、その人の水準として見られます。1本だけ新しく作り直すほうが効きます。作り方は実績なしで案件を取る方法にまとめました。
まとめ
- 問題になるのはブランクの長さではなく、説明できるかどうか
- 実務のブランクは1か月で戻る。重いのは技術のほう
- ただし技術も、変わった部分だけ足せば足りる
- 復帰前に前回離れた理由が解消されているかを確認する
- 引け目から自分で単価を下げない。先に相場を知る
私は二度離れて、二度戻っています。戻れるかどうかを決めているのは、離れていた年数ではありませんでした。離れた理由を1つ特定して、そこだけ変えて戻る。それだけです。
次に何を学ぶべきか迷っている方はコーダーに必要なスキルを、いまの働き方に無理が出ている方はコーダーがきつい・辞めたいと感じたらをご覧ください。
Q. 復帰にあたって、スクールに通い直すべきですか
基礎ができている人には不要だと考えています。ブランクで失われるのは知識ではなく、手を動かす感覚だからです。1本作れば戻ります。
迷うなら、先に面談を受けて「いまの経歴で紹介できる案件があるか」を聞くほうが速く、無料です。そこで足りないと言われた部分だけを埋めれば済みます。

